訓練
将校としても一応心得ておくべき科目として 、モールス信号、手旗信号、飛び降り訓練、毒ガス室訓練、銃剣術、剣道、足腰の強化訓練などが行われた。
在久留米の士官学校において、戦闘訓練のほかに随時これらの科目が施されていた。
○モールス信号 信号機を用いて命令伝達、連絡などを行う。「い」(ト ツー 「伊藤」で覚える 以下同様)「ろ」(トツートツー 「路上歩行」)「は」(ツートトト 「ハーモニカ」)といった具合に覚えやすくなっている。
○手旗信号 右手に赤旗、左手に白旗を持ち、カタカナに似せた形を作って遠くからでも判るように相手に送る。海軍では艦同士で行っていた。
○飛び降り訓練 12階段の上から飛び降りるのであるが、容易ではないので少しずつ下から飛び降りる。度胸だめしが目的であるが、さすがに12段ともなると下の方は巾があり過ぎて跳べなかった。
○ガス室訓練 ガスマスクを装着して、催涙ガスの充満したガス室に一人ひとり入り、中途に外部から「耳の脇に指を差し込め!」の指示。思わず涙が出てきて室から飛び出す。
催涙ガスの威力を体験させる訓練である。
○剣道、銃剣術 防具を着けての打ち合い(突き合い)であり、最も重要視された。
○駆け足訓練 在福山連隊で、未だ候補生になって間もなくの頃、約3キロはある「鞆の浦」まで往復駆け足をさせられた。足腰の鍛錬である。海岸沿いの道路で景色は良いが、さすがに顎を出してくると幹部を恨みたくなった。しかし士官学校で重装備での泊行軍(眠らずに歩く訓練)では、そのお陰でバテないで達成出来た。戦場で必ず起こりうる事に備える訓練であった。
一般に軍隊の訓練といえば、戦闘訓練のみが頭に浮かぶと思うが、その基礎は体力であり、戦場にあって、戦闘中は勿論、600キロに及ぶ苦闘の転進でも足腰の訓練の成果が大いにものをいったのだと今でも思うのである。
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